UNIXユーザへのメッセージ
〜初心者へ、そして先行者へ〜
法林 浩之
日本UNIXユーザ会
hourin@suplex.gr.jp
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自己紹介
- 日本UNIXユーザ会(jus)の幹事
- UNIXおよびインターネットのユーザグループ活動に数多く参加
- 過去1年間の主な活動
- 3月に会社を退職して、現在求職中
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今日の演題
- 「UNIXユーザへのメッセージ 〜初心者へ、そして先行者へ〜」
- 初心者へ
- UNIXの特徴を知ってもらう(特に、技術的でないこと)
- UNIXの上達法(と私が思っているもの)を教える
- UNIXの楽しさが伝わればうれしい
- 先行者へ
- ここでは「先輩」の意(中国製ロボットではない:-))
- よき先輩のあり方を考えたい
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UNIXとはどういうOSか
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UNIXの歴史(簡単に)
- アメリカ原産(30年前ぐらい)
- 日本に入ってきたのは20年前ぐらい
- インターネットの基盤となる(15年前ぐらい)
- 大型コンピュータの置き換えで普及(10年前ぐらい)
- コンピュータの性能向上により、個人用PCでもUNIXが動くように(5年前ぐらい)
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いろいろなUNIX
- 30年の間に、たくさんの流派に分かれた
- コンピュータメーカーが作るUNIX
- Solaris, HP-UX, MacOS Xなど
- 通常はコンピュータ本体とセットで売る
- 有志が集まって作るUNIX
- Linux, FreeBSDなど
- コンピュータは特定されない(いろんな機種に移植)
- 細かい所は異なるが、コンピュータ業界全体から見れば似たようなもの
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機能面でのUNIXの特徴
- 基本設計の良さ
- 安定した動作
- 30年にわたって多くの人に使われ、改良され続けてきた
- インターネット関連に強い
- 長い間インターネットを支えてきた実績
- 1台でサーバにも端末にもなれる
- プログラムが公開されているものが多い(オープンソース)
- コマンドによる操作が中心
- 基本設計は良いが、30年前なのでGUIはなかった
- 人によって、向き不向きがあるような気がする
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思想面でのUNIXの特徴
- UNIXは「開かれたOS」
- プログラムも含めて情報が公開されている(オープンソース)
- やる気があれば自分で改良できる(バグ修正、機能拡張など)
- 改良の成果がOSに取り込まれる
- たくさんの人の努力の結晶
- みんな対等な関係
- やる気があれば誰でも参加できる
- 各自が提供できる物/労力/金を出し合って開発(バーベキュー方式)
- 各自は対等な関係、つまり「仲間」
- インターネットの影響かも
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UNIXユーザの仲間意識
- 登山者や旅人同士のつながりと同じものを感じる
- 皆それぞれ目標は異なるが、同じ道を歩く仲間
- 人数が少ない(コンピュータ業界全体の中では)
- 助け合いが必要
- 根底にあるのは、相手に対する信頼感
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初心者、先行者を登山にたとえると…
- 初心者
- 先行者
- もう山登りをしている人
- 初心者を目の前にしている人
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初心者へのメッセージ
- 目標を持つ
- とにかく使ってみよう
- できるだけ使う機会を増やす
- 仲間を作ろう
- 基本は「自力で歩く」
- 質疑応答はグループで共有
- 「自分にもできること」を見つけよう
- 感謝の心を忘れずに
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目標を持つ
- インストールして終わりではない
- UNIXを何に使うのかを考える
- Webサーバを動かしたい
- プログラムを作りたい
- データベースを作りたい
- モバイルコンピューティングをしたい、など
- なんでもよいが、何か決めておいた方がよい
- 立てた目標によって、使い方が変わってくる
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とにかく使ってみよう
- 本を読んでいるだけでは上達しない
- どのOSがいい?
- 「LinuxとFreeBSDのどちらがいいでしょうか」
- 「Linuxはどのディストリビューションがいいでしょうか」
- 答え
- 細かい所は異なるが、どれも「UNIX系OS」なので大差ない
- OSの選び方
- 自分が使う気になりそうなものを選ぶ
- 身近にUNIXを使っている人がいたら、同じものを選ぶ(環境をまねる)
- UNIXを使っている人を探す → ユーザグループに参加
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できるだけ使う機会を増やす
- 最初に決めた目的に向かって環境を整える
- ソフトウェアのインストール、設定など
- 実際に手を動かして作業するのがよい
- たくさん練習した方が上達する
- 一番いいのは、日々の生活に取り入れること
- 仕事で使う
- 家庭用ゲーム機なみにハマる:-)
- 必ずしもできるとは限らないので、可能な範囲で取り組む
- 新しい作業をしたら、作業記録をつけておくとよい
- どういうコマンドを打ったか
- 参考にした文献、Webページなど
- 後日、同じ作業をするときに役に立つ
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仲間を作ろう
- 1人で進むよりも仲間がいた方がいい
- 困ったときに助けてくれるかもしれない
- 自分も、困っている人を助けてあげられるかもしれない
- ユーザグループやメーリングリストはそのためにある
- 仲間は助け合う存在であって、自分が一方的にサポートを受ける存在ではない
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基本は「自力で歩く」
- 誰かがサポートしてくれることをアテにしない
- わからないことがあったら、調べる
- 調べてもわからないときは、質問する
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質疑応答はグループで共有
- 特定の先輩になんでも質問してはいけない
- 先輩達もそれぞれの登山に忙しい
- なんでも知っているわけではない
- 質問は、特定の人でなくグループに向かって行うとよい
- ユーザグループの集会、メーリングリスト、掲示板など
- 自分が答えるときも同じ
- 「ask someone who knows」
- グループで質疑応答する効果
- 読者が多いほど、答えをもらえる可能性が高くなる
- 同じことで悩んでいる他の読者も救えるかもしれない
- 「誰かが答えてくれるかもしれない」の心で回答を待つ
- 回答があったら礼を言う
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「自分にもできること」を見つけよう
- なんでもいいから何か貢献しよう
- プログラムを書くだけが貢献ではない
- 文章を書く
- 集会を開く
- お金や物を提供する
- 質問に答える
- 「自分はとてもそんなレベルではない」とは思わないように
- 自分にしかできないこと、誰もやっていないことを探す必要はない
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感謝の心を忘れずに
- たくさんの人の努力のおかげでUNIXを使うことができる
- 何も貢献できなくても、これだけは忘れないで欲しい
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先行者へのメッセージ
- 先行者とは(再掲)
- もう山登りをしている人
- 登山口に来た初心者を目の前にしている人
- メーリングリストなども入れると、初心者は常に目の前にいる
- よき先輩のあり方を考える
- 初心者が参加しやすいユーザグループに
- 手本にされる存在であることを自覚
- 昔話よりも未来を語ろう
- 質問には素直に答える
- 他のグループと仲良くする
- 忙しくなったら
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初心者が参加しやすいユーザグループに
- 常に門戸を開けておく
- 閉鎖的にならない
- 雰囲気作りも重要
- 初心者も先行者も「仲間」です
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手本にされる存在であることを自覚
- あなたは自分が思っているよりも有名です
- よき手本になろう
- UNIXが好きなら楽しそうに使おう
- 初心者に「UNIXは面白そうだ」と思ってもらえるように
- 圧力でなく魅力でユーザを増やしたい
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質問には素直に答える
- 答えを知っているなら素直に書こう
- 知ってるくせに「調べましょう」とか言わない
- わざとひねくれた回答をしない
- 余裕があれば、調べ方も教えてあげるとさらによい
- あまりに事務的な回答もよくない
- 質問の仕方がヘタな初心者も多いが、寛大に
- 自分もかつては初心者(つまり同じようなレベル)だったことを忘れてはいけない
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他のグループと仲良くする
- 特にLinuxとBSD
- コンピュータ業界全体から見れば、どのUNIXも似たようなもの
- UNIXユーザは少ない
- Windowsと比べれば圧倒的に少ない
- 僕たちは特殊なコンピュータを使っていると思った方がいい
- 少ない人数だからこそ助け合いが必要
- 少ない人数でつぶし合いをしてはいけない
- 昔、UNIX同士の争いで失敗したのを繰り返してはいけない
- 「UNIXユーザみな兄弟」
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昔話よりも未来を語ろう
- 最近、昔話をする人が多い
- UNIXには未来がないのかと思われそうで個人的にはちょっとイヤ
- UNIXは昔を懐かしむためだけにあるのではない
- 立派な現役の実用システム
- これから伸びる可能性も十分ある
- 今後の展開を語り合いたい
- UNIXユーザにも世代があるらしい
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忙しくなったら
- 忙しくなると、いろいろなものが負担になる
- 忙しくなったら、活動を選ぶ
- 自分のできる範囲で活動
- 新しい人に活動をまかせることも重要
- 疲れたら、おとなしくする
- たくさんメールが来る人は、処理能力を上げる工夫も必要
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まとめ
- UNIXユーザに伝えたかったことをいろいろと話した
- 初心者へ
- とにかく使ってみよう
- コミュニティの人達と一緒に歩こう
- UNIXは、楽しい
- 先行者へ
- 先輩としての自覚を
- 初心者を迎え入れやすい場を作る
- 「UNIXは、楽しい」を伝える
- 圧力でなく魅力でUNIXを広めたい
- 今日の発表資料
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